最終更新日:2026年8月25日
制度・リンク最終確認日:2026年9月8日
この記事について
この記事は、介護現場で使われる用語を理解するための一般的な情報です。医師の診断や治療、看護師等による医学的判断の代わりになるものではありません。利用者に急な体調変化や意識状態の変化、呼吸の異常などがみられる場合は、記事の内容だけで判断せず、勤務先の緊急時対応手順に従って看護職・医師等へ報告し、必要な対応を行ってください。
介護現場では、日常的な介助だけでなく、申し送り・介護記録・カンファレンス・看護職との連携などで、さまざまな専門用語や略語が使われます。
これから介護職として働く方の中には、「ADLって何?」「SpO2はどう読むの?」「申し送りで知らない言葉が出てきたらどうしよう」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
しかし、入職前からすべての介護用語を暗記する必要はありません。まずは毎日の業務でよく使う言葉から少しずつ覚え、意味が分からない言葉を曖昧なままにしないことが大切です。
この記事では、新人介護士やこれから介護現場で働く方に向けて、介護現場でよく使われる専門用語・略語を、意味・使用場面・注意点とあわせて分かりやすく解説します。
なお、略語や呼び方は施設・法人・医療機関によって異なることがあります。この記事に記載した略称を全国共通のルールとして扱わず、実際の業務では勤務先のマニュアルや記録ルールを優先してください。
まず覚えたい|介護現場でよく使う専門用語・略語20選
介護現場には多くの専門用語がありますが、新人のうちは申し送り・介護記録・日常のケアで登場する頻度が高い言葉から覚えると理解しやすくなります。
| 用語・略語 | 読み方 | 意味 | よく使う場面 |
|---|---|---|---|
| ADL | エーディーエル | 日常生活動作 | 記録・申し送り・アセスメント |
| IADL | アイエーディーエル | 手段的日常生活動作 | アセスメント |
| QOL | キューオーエル | 生活の質 | ケア方針 |
| BPSD | ビーピーエスディー | 認知症の行動・心理症状 | 認知症ケア |
| バイタルサイン | ― | 体温・脈拍・呼吸・血圧などの生命徴候 | 健康管理 |
| BP | ビーピー | 血圧を表す略語として使われる | バイタル測定 |
| SpO2 | エスピーオーツー | 経皮的動脈血酸素飽和度 | 健康管理 |
| PT | ピーティー | 理学療法士 | リハビリ・多職種連携 |
| OT | オーティー | 作業療法士 | リハビリ・多職種連携 |
| ST | エスティー | 言語聴覚士 | 嚥下・コミュニケーション |
| アセスメント | ― | 利用者の状態・生活・課題などを把握し整理すること | ケア計画 |
| ケアプラン | ― | 介護サービス計画 | ケアマネジメント |
| 移乗 | いじょう | ベッドや車椅子などへ乗り移る動作 | 身体介護 |
| 臥床 | がしょう | ベッドなどに横になること | 日常ケア・記録 |
| 離床 | りしょう | ベッドから起きて活動へ移ること | 日常ケア・記録 |
| 嚥下 | えんげ | 食べ物や飲み物を飲み込む一連の動作 | 食事介助 |
| 誤嚥 | ごえん | 食物・飲み物・唾液などが気道側へ入ること | 食事介助・健康管理 |
| 褥瘡 | じょくそう | 圧迫などにより皮膚や組織に損傷が生じた状態 | 身体介護・皮膚観察 |
| 拘縮 | こうしゅく | 関節などが動かしにくくなった状態 | 身体介護 |
| ヒヤリ・ハット | ― | 事故には至らなかったものの事故につながる可能性があった事例 | 安全管理 |
注意:「Dr」「Ns」「CM」「BT」「KT」「PR」「P」「HR」「RR」「Sat」なども現場で見聞きすることがありますが、略し方や意味の運用は職場によって異なります。新人のうちは、分からない略語を推測せず確認してください。
参考資料:
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護保険の解説-用語編」
介護の基本として覚えておきたい専門用語
ADL|日常生活動作
ADLは「Activities of Daily Living」の略で、毎日の生活を送るために必要となる基本的な動作を指します。
食事、更衣、整容、排泄、入浴、移動などが代表的です。
現場では「食事ADLは自立している」「最近、移動面のADLに変化がある」などと使われることがあります。
IADL|手段的日常生活動作
IADLは「Instrumental Activities of Daily Living」の略で、ADLより複雑な生活行為を表します。
買い物、調理、洗濯、電話の使用、金銭管理、交通機関の利用など、地域や家庭で生活を続けるために必要な活動が含まれます。
QOL|生活の質
QOLは「Quality of Life」の略で、一般的に「生活の質」と訳されます。
介護では安全や身体機能だけを見るのではなく、本人の希望、楽しみ、役割、人間関係、生活習慣なども含め、その人らしい生活をどう支えるかという視点で使われます。
アセスメント
アセスメントとは、利用者の身体状態、生活状況、本人・家族の希望、できること、困っていることなどを把握し、必要な支援や課題を整理することです。
ケアプラン
ケアプランは、利用者のニーズに応じて必要な介護サービスを組み立てた介護サービス計画です。
ケアマネジャーはアセスメントを行い、必要なサービスを検討してケアプランを作成します。
モニタリング
モニタリングとは、提供している支援が現在の利用者に合っているか、状態や生活に変化がないかなどを継続して確認することです。
カンファレンス
介護現場では、利用者の状態や支援方法について職員・多職種で情報を共有し、今後の対応を検討する話し合いを指して使われます。
実務者目線
ADLは便利な言葉ですが、「ADLが低下した」だけでは何が変わったのか分かりません。申し送りでは「トイレまで一人で歩けていたが、現在は立ち上がり時に介助が必要」など、具体的にどの動作がどう変化したのかまで伝えると情報共有しやすくなります。
参考資料:
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護保険の解説-用語編」 /
厚生労働省 job tag「介護支援専門員/ケアマネジャー」
身体介護でよく使う専門用語
移乗
ベッドから車椅子、車椅子からトイレなど、別の場所・支持面へ乗り移る動作を指します。
移動介助
歩行や車椅子などによる移動を安全に行えるよう支援することです。利用者の状態に応じて、見守り、手引き、歩行器、車椅子など支援方法は異なります。
体位変換・体位交換
自力で姿勢を変えることが難しい利用者などに対し、身体の向きや姿勢を変えるケアです。同じ部位への圧迫が長時間続くことを避ける目的などで行われます。
更衣介助
衣服を着たり脱いだりする際に必要な部分を支援することです。本人ができる部分まで介助してしまわないよう、残存能力を確認しながら支援します。
清拭
入浴が難しい場合などに、タオル等を用いて身体を拭き、清潔を保つケアです。
陰部洗浄・陰洗
排泄後などに陰部を洗浄し、清潔を保つケアです。現場では「陰洗」と略して呼ばれることがあります。
口腔ケア
歯、舌、口腔粘膜、義歯などを清潔に保つためのケアです。利用者の状態に応じて適切な方法で行います。
全介助・一部介助・見守り
利用者に必要な介助量を表す際に使われる言葉です。ただし、何をもって「一部介助」「見守り」とするかは、評価方法や施設内の運用によって異なる場合があります。
臥床・離床
臥床(がしょう)はベッドなどに横になること、離床(りしょう)はベッドから起きて生活活動へ移ることを指して使われます。
参考資料:
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護保険の解説-用語編」
利用者の身体状態を表す専門用語
身体状態に関する言葉は、介護士が診断するためではなく、観察した状態を適切に共有するために理解しておくことが大切です。
拘縮
関節周囲の組織などの影響により、関節の動く範囲が狭くなった状態を表す言葉です。
麻痺
神経や筋の障害などにより、身体の一部を動かしにくい、または動かせない状態を表す言葉です。「右片麻痺」「左上肢麻痺」など、部位とあわせて使われることがあります。
浮腫
一般的に「むくみ」と呼ばれる状態です。原因は一つではないため、介護士が原因を決めつけず、左右差、程度、いつからか、ほかの体調変化がないかなどを確認して共有します。
褥瘡
持続的な圧迫などにより、皮膚やその下の組織に損傷が生じた状態です。介護現場では皮膚状態の観察、体位調整、栄養や活動状況など多職種での対応が重要になります。
発赤
皮膚が赤くなっている状態を表す言葉です。入浴、更衣、排泄介助などの際に発見することがあります。
チアノーゼ
顔色、唇、爪などが青紫色・紫色に見える状態を表す医療用語です。急に出現した場合や、呼吸状態・意識状態などに変化がある場合は、勤務先の緊急時手順に従って速やかに報告してください。
脱水
身体の水分が不足した状態です。高齢者では体調変化が分かりにくい場合もあるため、水分摂取量、排尿、食事、発熱、活動状態など日頃との違いを観察することが重要です。
傾眠
眠気が強く、声かけなどの刺激で目を覚ましても再び眠ってしまう状態を表す際に使われます。普段と比べて反応が弱い、急に眠気が強くなったなどの変化は、介護士だけで原因を判断せず報告します。
覚醒
眠っている状態から目を覚ましている状態を表す言葉です。
せん妄
注意や意識、認知などの状態が急に変化する病態です。認知症と似た様子が見られることがありますが、同じものではありません。
なお、厚生労働省の認知症関連資料では、せん妄はBPSDには含まれないと整理されています。急な混乱や意識状態の変化がみられる場合は、認知症の進行と決めつけず医療職へ共有することが重要です。
新人介護士が意識したいこと
「○○だと思う」と病名や原因を断定するより、いつから・どこが・どのように・普段と何が違うのかを具体的に伝えることが大切です。
参考資料:
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護保険の解説-用語編」 /
日本呼吸器学会「顔色や爪の色が悪い(チアノーゼ)」 /
厚生労働省「主な認知症施策について」
バイタル・健康管理でよく使う略語
バイタルサインは利用者の体調を把握するための重要な情報です。厚生労働省の介護用語解説では、狭義のバイタルサインとして体温・呼吸・脈拍・血圧が挙げられています。
VS|バイタルサインを示す略称として使われることがある
施設によっては「VS測定」などの表記を使うことがあります。ただし、略し方は全国で統一されているわけではありません。
BP|血圧
Blood Pressureの略として使われます。
PR・P|脈拍を示す表記として使われることがある
PRはPulse Rate、PはPulseを示す表記として使われる場合があります。
HR|心拍数
Heart Rateの略です。脈拍数と同じ値になる場合もありますが、医学的には常に同義とは限りません。
RR|呼吸数
Respiratory Rateの略として使われます。
SpO2|経皮的動脈血酸素飽和度
パルスオキシメータで測定される値です。日本呼吸器学会では、パルスオキシメータを皮膚を通して動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を測定する装置と説明しています。
SpO2は機器の装着状態、末梢循環、体動などの影響を受けることがあります。数値だけを見て介護士が病状を判断せず、利用者の呼吸、表情、意識、普段の値などとあわせて勤務先の基準に沿って報告・対応してください。
BT・KT|体温を示す表記として使われることがある
施設や医療機関で体温の略記として見かける場合がありますが、表記は統一されていません。
BS|血糖値を示す意味で使われる場合がある
施設によっては血糖値の意味で「BS」を使うことがあります。ただし、略語には複数の意味を持つものがあるため、意味が不明な場合は必ず確認してください。
正常値を暗記して自己判断することより、利用者ごとの基準・医師や看護職からの指示・施設の対応基準を確認することが重要です。
参考資料:
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「バイタルサイン」 /
日本呼吸器学会「パルスオキシメーターとはどのようなものですか?」
食事介助・嚥下でよく使う専門用語
摂取
食事や水分などを身体に取り入れることです。「昼食8割摂取」「水分150mL摂取」など、施設の記録ルールに沿って使われることがあります。
咀嚼
読み方は「そしゃく」です。食べ物を噛み砕き、唾液と混ぜて飲み込みやすい状態にする一連の動きを指します。
嚥下
読み方は「えんげ」です。食べ物や飲み物を口から咽頭・食道を通して送り込む一連の動作を指します。
誤嚥
食べ物、飲み物、唾液などが本来の食道側ではなく気道側へ入ることです。
むせ込み
食事や水分摂取中に咳き込む状態です。むせの有無だけで誤嚥の有無を介護士が断定することはできません。普段との違いや食事中の様子を観察し、必要に応じて看護職やSTなどへ共有します。
とろみ
飲み物などに粘度をつけ、利用者の嚥下状態に応じて調整するものです。濃度は利用者ごとに決められていることがあるため、自己判断で変更しないことが重要です。
常食・軟飯・全粥・刻み食・ミキサー食・ペースト食
食べる力や嚥下状態などに応じて調整された食事形態です。
食事形態の名称や分類は施設によって異なる場合があります。「粗刻み」「極刻み」などの名称だけで判断せず、その利用者に指示されている実際の食形態を確認してください。
経管栄養
口からの摂取だけでは必要な栄養を確保することが難しい場合などに、チューブを通して栄養を投与する方法です。
胃ろう・PEG
胃ろうは腹部から胃へ通じる孔を作り、栄養などを投与するために用いる方法です。「PEG」は胃ろう造設法や胃ろうに関連する言葉として使われます。
医療的ケアに関する注意
経管栄養は、一定の研修・認定等の条件を満たした介護職員が、法令や事業所の体制に基づいて実施できる場合があります。新人職員が見よう見まねで行うものではありません。勤務先で自分が実施できる範囲、必要な研修、医師・看護職からの指示を必ず確認してください。
参考資料:
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「嚥下・咀嚼・胃ろう・経管栄養等」 /
厚生労働省「原則として医行為ではない行為について」
排泄介助でよく使う専門用語
排尿・排便
排尿は尿を出すこと、排便は便を出すことです。介護記録では、回数だけではなく利用者の状態や必要な観察項目を施設ルールに沿って記録します。
尿失禁・便失禁
本人の意思とは関係なく尿や便が漏れてしまう状態を指します。
頻尿
排尿回数が多い状態を表す言葉です。介護士が原因を判断するのではなく、普段との違いや時間帯、量、訴えなどを確認して共有します。
尿閉
膀胱に尿がたまっていても、うまく排尿できない状態を指します。普段と異なる排尿状況や苦痛がある場合は、医療職へ報告します。
便秘・下痢
排便状況を表す基本的な用語です。単に「何日出ていないか」だけでなく、利用者ごとの普段の排便状況や便の状態、食事・水分、腹部症状なども重要です。
摘便
直腸内の便を指などで取り除く処置を指します。新人介護士が自己判断で実施してよい行為ではありません。実施者の資格・役割や施設の手順を必ず確認してください。
浣腸
排便を促す目的で肛門から薬液等を注入する処置です。
厚生労働省は、一定の条件を満たす市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器を用いた浣腸について、「原則として医行為ではない行為」の一つとして整理しています。
ただし、すべての利用者に介護職員が自由に実施できるという意味ではありません。利用者の状態を踏まえ、医師・看護職との連携、事前の取り決め、施設の手順に従うことが必要です。
膀胱留置カテーテル・バルーン
尿を排出するために膀胱へ留置されているカテーテルです。現場で「バルーン」と呼ばれることがあります。
ストーマ
人工肛門や人工膀胱など、排泄のために腹部につくられた開口部を指します。
医療的な処置が関係する排泄ケアは、名称を知っていることと「実施してよいこと」は別です。自分の資格・研修状況・職場での役割を必ず確認してください。
参考資料:
厚生労働省「原則として医行為ではない行為について」 /
厚生労働省「医師法第17条等の解釈について(通知)」 /
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「膀胱留置カテーテル・人工肛門等」
認知症ケアでよく使う専門用語
BPSD
BPSDは「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia」の略で、認知症の行動・心理症状を指します。
不安、抑うつ、妄想、幻覚、興奮、歩き回る行動など、さまざまな症状・行動が含まれます。
見当識
時間、場所、人物などを認識する能力を指します。
徘徊・歩き回る行動
公的資料でも「徘徊」という用語が使われる場合がありますが、実際の行動には、帰宅したい、何かを探している、不安がある、習慣として歩いているなどの背景があることがあります。
そのため「徘徊している」で終わらせず、どこへ行こうとしているのか、何を話しているのか、時間帯やきっかけは何かまで観察するとケアにつながりやすくなります。
帰宅願望
「家に帰りたい」「家族が待っている」など、自宅へ帰ろうとする言動を表す際に使われます。
不穏
落ち着かない、興奮しているなどの状態をまとめて表す際に使われることがありますが、非常に幅の広い表現です。
介護記録では「不穏あり」だけではなく、実際に見た行動や聞いた発言を記録する方が情報共有しやすくなります。
拒否
食事、入浴、服薬、介助などを本人が望まない状態を「拒否」と表すことがあります。
ただし「介護拒否」とだけ判断せず、痛み、不安、羞恥心、説明不足、時間帯、環境など背景を考えることが重要です。
昼夜逆転
日中に眠る時間が長く、夜間に活動するなど、生活リズムが昼夜で逆転した状態を表します。
せん妄との違い
せん妄は急性の意識・注意などの変化を伴う病態であり、厚生労働省資料ではBPSDには含まれないとされています。急な状態変化を「認知症だから」と決めつけないことが大切です。
実務者目線
「不穏」「拒否」「徘徊」といった言葉だけでは、利用者の状態が十分に伝わらないことがあります。たとえば「居室と廊下を往復し、『家に帰ります』と繰り返し話される」のように、事実を具体的に残すことで、次の職員も同じ状況をイメージしやすくなります。
参考資料:
厚生労働省「主な認知症施策について」
介護記録・申し送りでよく使う言葉
介護は一人の職員だけで完結する仕事ではありません。早番・日勤・遅番・夜勤、看護職、ケアマネジャーなどへ情報をつなぐため、記録と申し送りは重要です。
申し送り
利用者の状態変化、行った対応、次の勤務者に確認・対応してほしいことなどを共有することです。
介護記録
提供したケアの内容、利用者の状態、反応、経過などを記録します。指定介護老人福祉施設の運営基準では、提供した具体的なサービス内容や事故の状況・対応など、所定の記録を整備することが定められています。
SOAP
医療・福祉領域で使われる記録方法の一つです。すべての介護施設がSOAPを採用しているわけではありません。
- S:Subjective=本人の訴え・発言などの主観的情報
- O:Objective=測定値や職員が確認した事実などの客観的情報
- A:Assessment=得られた情報を踏まえた評価
- P:Plan=今後の対応・計画
経過観察
状態の変化を継続して確認することを表します。「何を観察するのか」「どの変化があれば報告するのか」が共有されていることが重要です。
特変なし
「特別な変化なし」という意味で使われることがあります。ただし「特変なし」だけでは、何を確認したのか分かりにくい場合があります。
様子観察
現場でよく使われる言葉ですが、何を・どの程度・いつまで観察するのかを具体化できると、次の勤務者へ伝わりやすくなります。
関連記事:介護記録の書き方の記事がある場合は、ここから内部リンクを設置すると読者の理解を深めやすくなります。
関連記事:申し送りの記事も、ここから内部リンクを設置するのがおすすめです。
参考資料:
厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」
多職種連携でよく使う職種の略語
介護施設では、介護士だけでなく、医師、看護職、リハビリ職、ケアマネジャーなど多くの専門職が利用者を支えています。
| 略語 | 職種 | 主な役割 | 介護士が連携する例 |
|---|---|---|---|
| PT | 理学療法士 | 身体運動機能の回復・維持・向上、基本動作などを支援 | 移乗・歩行・福祉用具・姿勢 |
| OT | 作業療法士 | 日常生活・社会生活への復帰に向け、作業や動作を用いて支援 | 食事、更衣、生活動作、活動 |
| ST | 言語聴覚士 | コミュニケーションや摂食・嚥下などを評価・支援 | 食事形態、嚥下、意思疎通 |
| CM | ケアマネジャーを指す略称として使われることがある | アセスメント、ケアプラン作成、サービス調整 | 状態変化、ケア方針、サービス調整 |
| MSW | 医療ソーシャルワーカー | 経済的・心理的・社会的な問題の相談・調整 | 入退院、家族支援、社会資源 |
「Dr」「Ns」「SW」なども職場内の略称として使われることがありますが、略語の使用方法は組織によって異なります。正式な記録や家族への説明では、誤解のない表現を優先しましょう。
実務者目線
新人のうちは、職種名だけを覚えるよりも「何を相談できる職種なのか」まで理解すると連携しやすくなります。たとえば食事時のむせが増えた場合、看護職への報告だけでなく、施設の体制によってはSTや管理栄養士などへ情報がつながることがあります。
参考資料:
厚生労働省 job tag「理学療法士(PT)」 /
厚生労働省 job tag「作業療法士(OT)」 /
厚生労働省 job tag「言語聴覚士」 /
厚生労働省 job tag「介護支援専門員/ケアマネジャー」 /
厚生労働省 job tag「医療ソーシャルワーカー」
事故・安全管理でよく使う専門用語
ヒヤリ・ハット
事故には至らなかったものの、事故につながる可能性があった事例を表す言葉です。
介護老人福祉施設の運営基準では、事故が発生した場合だけでなく、事故に至る危険性がある事態についても報告し、分析を通じた改善策を職員へ周知する体制が求められています。
インシデント・アクシデント
事故や事故につながる事例を分類するために使われる言葉ですが、分類基準は施設・法人によって異なる場合があります。勤務先の事故報告マニュアルを確認してください。
転倒・転落
現場では、歩行中や立位時などに倒れることを「転倒」、ベッド等の高い位置から落ちることを「転落」と区別して記録することがあります。施設の定義に従って記録します。
誤薬
本来とは異なる薬を服用する、対象者や時間、量などを誤るといった薬に関する事故を表す際に使われます。
誤薬や服薬に関する異常に気づいた場合は、自己判断で帳尻を合わせるのではなく、勤務先の手順に従い速やかに報告することが重要です。
身体拘束
本人の行動の自由を制限する行為です。介護施設では、身体的拘束等の適正化・廃止に向けた取り組みが求められています。
厚生労働省は2026年3月改訂の高齢者虐待対応マニュアルと、介護施設・事業所向けの身体拘束廃止・防止の手引きを公開しています。
高齢者虐待
高齢者虐待防止法では、養介護施設従事者等による虐待として、身体的虐待、介護・世話の放棄・放任、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待などが扱われます。
実務者目線
新人職員は「ヒヤリ・ハットを書いたら怒られるのでは」と不安になることがあります。しかし、目的は個人を責めることではなく、同じ状況で事故が起きないよう原因や環境を共有し、再発防止につなげることです。報告の基準は勤務先のルールを確認しましょう。
参考資料:
厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」 /
厚生労働省「高齢者虐待への対応と養護者支援(令和8年3月改訂)」
看取り・人生の最終段階で使われる専門用語
特養や有料老人ホームなどでは、利用者の人生の最終段階に関わることがあります。新人のうちは判断を担う立場でなくても、用語の意味を知っておくと多職種連携を理解しやすくなります。
看取り
人生の最終段階にある利用者に対し、本人の意思や家族等との話し合いを踏まえながら、医療・介護・生活面を支えていくことを指して使われます。
ターミナルケア
人生の最終段階に行われる医療・看護・介護などを指す言葉です。
ACP|アドバンス・ケア・プランニング
厚生労働省は「人生会議」という愛称で普及啓発しています。
本人が大切にしたいこと、望む生き方、もしものときにどのような医療やケアを望むかについて、本人・家族や大切な人・医療ケアチームと前もって考え、繰り返し話し合うプロセスです。
DNAR
「Do Not Attempt Resuscitation」の略で、心肺停止時に心肺蘇生を試みない方針を表す言葉です。
DNARは「治療やケアをすべて行わない」という意味ではありません。心肺蘇生に関する方針と、それ以外の医療・ケアは分けて考える必要があります。
エンゼルケア
死亡確認後に行われる死後のケアを指す言葉です。実施方法や職種の役割分担は施設・医療機関によって異なります。
人生の最終段階に関する医療・ケアの方針は、介護士が単独で決めるものではありません。本人の意思を基本に、医師・看護職・ケアマネジャー・家族等を含むチームで共有することが重要です。
参考資料:
厚生労働省「人生会議(ACP)ポータルサイト」 /
厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」掲載ページ /
日本救急医学会「DNAR」
施設・介護サービスでよく使われる略称
特養|特別養護老人ホーム
介護保険制度上では「介護老人福祉施設」として位置づけられる施設です。
老健|介護老人保健施設
在宅復帰を目指す方を受け入れ、リハビリテーションや必要な医療、介護などを提供する施設です。
グループホーム
介護保険サービスでは「認知症対応型共同生活介護」と呼ばれます。
デイ|デイサービス
一般的には「通所介護」を指して使われます。
デイケア
「通所リハビリテーション」を指します。デイサービス(通所介護)とは別のサービスです。
ショート|ショートステイ
「短期入所生活介護」や「短期入所療養介護」などの短期間宿泊するサービスを指して使われます。
訪問介護
訪問介護員が利用者の自宅を訪問し、食事、排泄、入浴などの身体介護や、掃除、洗濯、買い物、調理などの生活援助を行うサービスです。
サ高住|サービス付き高齢者向け住宅
高齢者向けの住まいの一つです。介護保険施設そのものとは仕組みが異なるため、提供される介護サービスの形態を確認する必要があります。
有料老人ホーム
高齢者向け住まいの一つで、介護付き・住宅型などがあります。
関連記事:特養・老健・有料・グループホームの違いを解説した記事がある場合は、ここから内部リンクを設置すると理解しやすくなります。
参考資料:
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「公表されている介護サービスについて」 /
厚生労働省「訪問介護(ホームヘルプ)」 /
厚生労働省「介護老人保健施設(老健)」
新人介護士が専門用語・略語を覚える5つのコツ
1.毎日使う言葉から覚える
最初はADL、移乗、臥床、離床、バイタル、排泄、嚥下、申し送りなど、毎日の業務で何度も出てくる言葉から覚えましょう。
2.分からない言葉をメモする
勤務先の個人情報保護ルールに注意しながら、利用者を特定できない形で「今日分からなかった用語」だけをメモして調べる方法もあります。
3.略語だけでなく意味まで覚える
「ADL=エーディーエル」だけではなく、「利用者の日常生活動作を考える言葉」というところまで理解すると、実際のケアと結びつきやすくなります。
4.分からなければその場で確認する
薬、食事形態、医療的ケア、緊急時対応など、安全に関わる情報は特に「たぶんこの意味だろう」で進めないことが大切です。
5.勤務先独自の言葉・略語を確認する
介護現場では、勤務帯、食事形態、排泄用品、記録、フロア名など、施設独自の略称が使われることがあります。
公的な用語集で基本を確認しながら、職場独自の表現は施設のマニュアルや先輩職員へ確認するのがおすすめです。
参考資料:
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護保険の解説-用語編」
【実務者目線】介護現場の専門用語は全部覚える必要がある?
これから介護職として働く方の中には、「専門用語を覚えてから働いた方がいいのでは?」と不安に感じる方もいると思います。
しかし、介護現場で使われる言葉は非常に多く、勤務先によって呼び方が異なるものもあります。入職前から全部を覚えようとするより、日々の業務で繰り返し出てくる言葉を一つずつ理解する方が現実的です。
特に大切なのは、分からない言葉を分かったふりで処理しないことです。
介護現場では、利用者の体調、薬、食事形態、排泄、転倒、医療的ケアなど、安全に関わる情報を扱います。略語の意味を勘違いすると、情報の受け取り方や伝え方が変わる可能性があります。
また、専門用語をたくさん使えば「仕事ができる」というわけでもありません。
たとえば家族へ「ADLが低下しました」とだけ説明するより、「以前は一人でトイレまで歩けていましたが、現在は立ち上がり時に職員の支えが必要になっています」と伝えた方が分かりやすい場合があります。
専門用語は知識を見せるためではなく、利用者の状態やケアを正確に共有するための道具です。
実務者として追記すると記事の独自性が高まるポイント
- 新人時代に実際に意味が分からなかった用語
- 施設独自の略称で戸惑った経験
- 「分かったふりをせず確認した方がよい」と感じた具体例
- 申し送りで略語だけでは伝わらなかった経験
- 家族説明では専門用語を言い換えている実例
参考資料:
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護保険の解説-用語編」
介護の専門用語・略語についてよくある質問
介護用語は入職前に全部覚える必要がありますか?
いいえ。まずはADL、移乗、臥床、離床、バイタル、排泄、嚥下、申し送りなど、日常業務で頻繁に使う言葉から覚えるのがおすすめです。
新人介護士が最初に覚えるべき専門用語は?
利用者の安全と日々の業務に直結しやすい、ADL、バイタル、移乗、嚥下・誤嚥、排泄、介護記録、申し送りなどから覚えると実務につながりやすいでしょう。
ADLとは簡単にいうと何ですか?
食事、更衣、排泄、入浴、移動など、毎日の生活を送るために必要となる基本的な動作です。
BPSDとは何ですか?
認知症の行動・心理症状を表す「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia」の略です。
バイタルとは何ですか?
生命徴候を指す言葉です。狭義には体温、呼吸、脈拍、血圧などが含まれます。
SpO2とは何ですか?
パルスオキシメータで皮膚を通して測定される動脈血酸素飽和度の指標です。値の解釈や対応は利用者ごとの状態・指示・施設基準に従います。
DrやNsは何の略ですか?
現場ではDrを医師、Nsを看護師の意味で使う場合があります。ただし、施設内略称としての運用は統一されていないため、勤務先で確認してください。
介護施設によって略語は違いますか?
はい。専門職として一般的なPT・OT・STのような略称がある一方、施設独自の略語・記録表現もあります。
分からない専門用語が出てきたらどうすればいいですか?
自己判断せず、その場で意味を確認するのが基本です。特に薬、食事形態、医療的ケア、緊急時対応に関係する言葉は、推測で対応しないでください。
介護記録で略語を使ってもいいですか?
勤務先の記録ルールに従ってください。施設内で統一されていない略語や、読み手によって意味が変わる略語は避け、誰が読んでも誤解しにくい記録を心がけます。
参考資料:
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護保険の解説-用語編」 /
日本呼吸器学会「パルスオキシメーターとはどのようなものですか?」
まとめ|専門用語は「全部暗記」より現場で使う言葉から覚えよう
介護現場では、ADL、BPSD、SpO2、移乗、嚥下、褥瘡など、初めて聞く専門用語や略語が数多く登場します。
これから介護職として働く方は「こんなに覚えられるのだろうか」と不安になるかもしれませんが、最初からすべてを暗記する必要はありません。
まずは、毎日の申し送り、介護記録、身体介護、食事介助などで頻繁に使う言葉から一つずつ覚えていきましょう。
そして、分からない言葉が出たときは自己判断せず確認してください。
介護で重要なのは難しい専門用語をたくさん知っていることではなく、利用者の状態を正しく理解し、必要な情報を職員や多職種へ正確に伝えることです。
この記事を保存し、現場で知らない言葉が出てきたときの確認用として活用してください。